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東京地方裁判所 昭和60年(ワ)1425号 判決

原告

三浦釣子

被告

明治交通株式会社

主文

被告は、原告に対し、六二五万九七三七円及びこれに対する昭和六〇年二月二三日から支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は、これを五分し、その三を原告の、その余を被告の、各負担とする。

この判決は、第一項につき、仮に執行することができる。

事実

第一申立

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し、一五九五万二八六九円及びこれに対する昭和六〇年二月二三日から支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二主張

一  請求原因

1  事故の発生

(一) 日時 昭和五八年四月八日午後一〇時四〇分ころ

(二) 場所 東京都新宿区西新宿六丁目一八番一〇号先交差点(以下「本件事故現場」という。)

(三) 加害車 普通乗用自動車(練馬五五え九六六五)

(四) 右運転者 狩野和信(以下「狩野」という。)

(五) 被害車 原動機付自転車(渋谷区か三六四一)

(六) 右運転者 原告

(七) 事故の態様 本件事故現場の状況は、別紙図面のとおりであるが、原告が被害車を運転して青梅街道の左端を新宿方面から荻窪方面に向け進行中、狩野運転の加害車が本件交差点の被害車の右方の道路から青梅街道内に進入し、被害車の前を横切る形で進行したため、加害車と被害車が接触し、原告が転倒し、後記傷害を受けた(以下「本件事故」という。)。

2  責任原因

被告は、加害車を所有して自己のため運行の用に供していたのであるから、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条により原告の後記損害を賠償する責任がある。

3  原告の受傷状況

原告は、本件事故により左鎖骨骨折、左膝打撲擦過傷の傷害を受け、昭和五八年四月八日春山外科医院に通院し、同月九日から二八日まで二〇日間同病院に入院し、その間左鎖骨の整復術を施行した。同月二九日から同年一〇月三〇日まで一八五日間同病院に通院し(実治療日数五五日)、その間、同年六月末に左肩のギブスがとれた。同月三一日から同年一一月三〇日まで同病院に再入院し、左鎖骨の釘抜手術を受けた。退院後は骨の接着部分が少なく無理ができないので、自宅療養しながら機能訓練を続け、様子をみ、訓練の結果物の持ち上げにも不安が少なくなつたので、昭和五九年三月二三日から仕事を始めたが、左肩に対する不安と腕に力が入らないこと等もあつて、正常な仕事はとてもできる状態ではなく、しばらくの間は午前中で仕事を打ち切らざるを得なかつた。現在では、左肩の痛みはなくなつたが、左を下にして寝ることはできない状態が続いている。

4  損害

原告は、本件事故により次のとおりの損害を受けた。

(一) 治療費 七三万八七六〇円

原告は、春山外科医院における治療のため右金額を要した。

(二) 入院雑費 五万一〇〇〇円

原告は、右入院期間(五一日間)中、入院雑費として一日当たり一〇〇〇円を要した。

(三) 通院交通費 二万七五〇〇円

原告は、通院期間のうち五五日分、交通費として一日当り五〇〇円を要した。

(四) 休業損害 一三〇六万三〇七〇円

(1) 原告は、昭和五六年四月二三日に白河忠一(以下「白河」という。)との間に、白河が神道幸子から賃借している東京都渋谷区代々木一丁目四五番一号所在の東栄ビルの一階の店舗での惣菜及び弁当の製造販売について、左記条件により原告において営業を営む旨の経営委託契約を締結した。

ア 期間 昭和五六年五月一日から五年間

イ 委託料 一カ月四〇万円 毎月末日限り持参払い

ウ 光熱費の負担 公租公課、電気、ガス、水道料金等の使用料は、原告において負担し、支払う。

(2) 原告は、右契約に基づき、昭和五六年五月二三日に開業し、右店舗において「ポテト」の商号で、店内食堂も兼ね、惣菜及び弁当の製造販売を行つてきたものであるが、右営業による収入から、白河に支払う委託料の他、原材料費、人件費、光熱費等の経費を控除したものが原告の利益となるものである。

(3) 原告の営業は、当初は右店舗での販売のみであつたが、売上の伸びが思わしくないので、昭和五八年一月一七日から「トーキヨーフード」の名称で弁当の注文販売を始めた。これにより営業利益も出始め、注文販売に力を入れようとした矢先に本件事故にあい、右営業を中止せざるを得なくなつたものである。

(4) 原告の昭和五八年一月から三月までの売上高及び仕入額、人件費の支出状況は次のとおりである。

〈省略〉

昭和五八年一月分については、月の中途から「トーキヨーフード」の名称による外販を始めているので、通常の営業状態がなされている二月分及び三月分についてみるに、売上高から仕入れ額及び人件費を控除した残額は、二月分で二四〇万八三五〇円である。右の仕入、人件費以外に支出の見込まれる費用としては、光熱費及び通信費があげられるが、これについて昭和五八年一年間の実績額は、光熱費一〇八万八四五〇円、通信費五万九四六〇円であるから、両者を合計したものの一カ月分の平均額は、九万五六五九円である。月平均一〇万円を超えることはない。したがつて、右残額から光熱費、通信費の二カ月分の見込み額二〇万円を控除すると、原告の収益は二二〇万八三五〇円となる。

原告は、本件事故により昭和五八年四月九日から昭和五九年三月二二日まで休業を余儀なくされたものであり、三四九日間の休業損害は一三〇六万三〇七〇円となる。

原告の右休業期間中に白河に対して支払うべき毎月の委託料は未払いのままになつており、本件訴訟が解決するまで支払を猶予してもらつているものである。

原告は、昭和五九年三月二三日から営業を再開したが、一年近く休業したため、店舗は荒れ、内装工事をしないと客の入れる状態ではない。そのため、現在では弁当の注文販売のみを行つている。しかし一年余の休業のため、得意客はなくなり、未だに従前のような利益を得るには至らず、委託料を支払いながら生活のやりくりをするのがやつとの状態である。

(五) 入通院慰藉料 一五〇万円

原告の、本件事故により受けた傷害による入通院状況、本件事故により長期に亙つて休業を余儀なくされ、得意先も減少したこと等の事情を考慮すると、原告の本件事故による肉体的、精神的苦痛を慰藉するためには右金額が相当である。

(六) 弁護士費用 一五〇万円

原告は、被告が任意に右損害の支払いをしないために、その賠償請求をするため、原告代理人に対し、本件訴訟の提起及びその遂行を依頼したが、本件事故と相当因果関係がある弁護士費用としては、右金額が相当である。

(七) 損害のてん補

原告は、自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)から、四六万六一〇〇円及び一八万九三九一円、被告から二万一六〇八円及び六万六二一〇円、東京食品販売国民健康保険から治療費として三万九六六二円及び一四万七四九〇円の各支払を受けているので、以上の金額を右損害から控除することとする。

合計 一五九五万二八六九円

よつて、原告は、被告に対し、右損害金一五九五万二八六九円及びこれに対する本件事故発生の日の後である昭和六〇年二月二三日から支払いずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1(事故の発生)の事実中、事故態様を除き認める。事故態様のうち、原告が被害車を運転して青梅街道の左端を新宿方面から荻窪方面に向け進行中、狩野運転の加害車が本件交差点の被害車の右方の道路から青梅街道内に進入したこと、加害車と被害車が接触し、原告が転倒したことは認め、その余は否認する。

2  同2(責任原因)の事実は認める。

3  同3(原告の受傷状況)及び同4(損害)の各事実は知らない。

三  抗弁

本件事故が狩野の何らかの過失に起因して発生したとしても、原告にも本件事故の発生または損害の拡大につき過失が存したものである。

本件事故現場の状況は、別紙図面のとおりであるが、狩野は、青梅街道に進入する直前に一時停止し、安全確認をしたうえで青梅街道に進入している。その後通行車がないことを確認のうえ、徐行しながらほぼまつすぐに中央線付近まで進行し、更に、同所で中野方面への車両に対する信号が青を表示していることを確認したうえ徐行のまま右折を開始し、右折開始と同時に中野方面への横断歩道上の安全を確認したうえ左折のための方向指示灯を点灯させつつ、車体を一旦青梅街道と平行に近い位置にしてからバツクミラーで後方及び左斜め後方の安全を確認しながら徐行状態のまま副都心一二号線方面へ左折を開始している。以上のように狩野の走行方法には、法令上何ら違反はなく、比較的軽度の過失であつたものである。

これに対し、原告は、夜間見通しの良い道路において、前方に全く注意を向けていなかつたものであり、原告の右懈怠は、本件事故の発生及び損害の拡大の一因をなしているものであり、少なくとも損害の六〇パーセントの過失相殺をすべきである。

四  抗弁に対する認否

争う。

第三証拠

本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これをここに引用する。

理由

一  請求原因1(事故の発生)中、事故態様を除く部分及び同2(責任原因)の各事実は当事者間に争いがない。

二  事故態様及び過失相殺の抗弁について判断する。

1  事故態様中、原告が被害車を運転して青梅街道の左端を新宿方面から荻窪方面に向け進行中、狩野運転の加害車が本件交差点の被害車の右方の道路から青梅街道内に進入したこと、加害車と被害車が接触し、原告が転倒したことは当事者間に争いがない。右争いのない事実に、成立に争いのない甲五号証から九号証まで証人狩野の証言、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められる。

本件事故現場は、四谷(東方)方面から中野(西方)方面に通じる歩車道の区別のある中央に区分線が引かれている車道幅員一四・六メートルの青梅街道と、同所から甲州街道(南方)に通じる甲州街道への進行方向の車道幅員一三・〇五メートルの副都心一二号線が交差する信号機により交通整理が行われている三叉路の淀橋二中交差点(以下「本件交差点」という。)で、直進で前方への見通しは良好であつた。本件交差点の四谷よりには、北新宿一丁目方面(北方)から通じる幅員三・七メートルの歩車道の区別のない道路(以下「甲道路」という。)が青梅街道に通じており青梅街道への出口には一時停止の標識が設置されている。いずれも、路面はアスフアルト舗装がされており、平坦で本件事故当時は乾燥し、付近は照明のため明るかつた(詳細は別紙図面参照)。

狩野は、加害車を運転して、甲道路から青梅街道に進入する直前に一時停止し、青梅街道に進入し、その後通行車がないことを確認のうえ、徐行しながらほぼまつすぐに青梅街道の中央の区分線付近まで進行し、更に、同所で中野方面への車両に対する信号が青を表示していることを確認したうえ右折を開始し、時速二五キロメートルで右折開始と同時に中野方面への横断歩道上の安全を確認したうえ左折のための方向指示灯を点灯させつつ、車体を一旦青梅街道と平行に近い位置にしたが、左折方向指示灯を点灯したものの、四谷方面から進行してくる車両(加害車の後方及び左斜め後方)の安全を確認せずに、副都心一二号線方面へ左折を開始したため、折りから、四谷方面から進行してきた被害車に加害車を衝突させた。

原告は被害車を運転して、四谷方面から中野方面に車道の左端を時速約三〇メートルで進行していたが、加害車が前記のように、被害車の前を左折した際、前方不注視により加害車に気付いたのは衝突直前であつたため、衝突を回避するための制動をするいとまもなく、加害車に衝突した。

以上の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

2  右事実に徴すると、狩野は、加害車の青梅街道への進入及び副都心一二号線方面への左折がかなり不自然な形態であり、左折する際の原則である左よせも充分できないにもかかわらず、加害車の後方及び左斜め後方の安全を確認せずに、左折を開始したもので、その過失は重大であり、これに対し、原告は、夜間見通しの良い道路において、前方に全く注意を向けていなかつたものであり、原告の右過失もまた小さいとはいえない。

双方の過失を勘案すると、本件事故の発生につき狩野が三、原告が一の責任があるというべきである。

三  同3(原告の受傷状況)の事実について判断する。

成立に争いのない甲一五号証、原本の存在、成立ともに争いのない甲一六、一七号証、一九号証の三、四、弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲二、三号証及び原告本人尋問の結果によれば、以下の事実が認められる。

原告は、本件事故により左鎖骨骨折、左膝打撲擦過傷の傷害を受け、昭和五八年四月八日春山外科医院に通院し、同月九日から二八日まで二〇日間同病院に入院し、その間左鎖骨の整復術を施行した。同月二九日から同年一〇月三〇日まで一八五日間同病院に通院し(実治療日数五五日)、その間、同年六月末に左肩のギブスがとれた。同月三一日から同年一一月三〇日まで同病院に再入院し、左鎖骨の釘抜手術を受けた。退院後は骨の接着部分が少なく無理ができないので、自宅療養しながら様子をみ、物の持ち上げにも不安が少なくなつたので、昭和五九年三月二三日から仕事を始めたが、左肩に対する不安と腕に力が入らないこと等もあつて、大きな炊飯器を持ち上げる等することが不安であつたりして、しばらくの間は午前中で仕事を打ち切らざるを得ない状態であつた。

以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

四  同4(損害)の事実について判断する。

原告は、本件事故により以下のとおり損害を受けた。

1  治療費 五五万一六〇八円

前掲甲一五号証から一七号証まで及び原告本人尋問の結果によれば、原告は、春山外科医院における治療のため七三万八七六〇円を要したことが認められる。そして、そのうち東京食品販売国民健康保険から治療費として三万九六六二円及び一四万七四九〇円の各支払を受けていることは、原告の自認するところであるので、右金額を控除すると、治療費の残額は、五五万一六〇八円となる。

2  入院雑費 五万一〇〇〇円

弁論の全趣旨によれば、原告は、前記入院期間(五一日間)中、入院雑費として一日当たり一〇〇〇円を要したことが認められる。

3  通院交通費 二万七五〇〇円

原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、原告は、通院期間のうち五五日分、交通費として一日当り五〇〇円を要したことが認められる。

4  休業損害 六六〇万七二八七円

(一)  成立に争いのない乙四号証の一、二、第七号証、原告本人尋問の結果により真正に成立したと認められる甲一二号証、証人白河の証言により真正に成立したと認められる甲二〇号証、同証言、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

原告は、昭和五六年四月二三日に白河との間に、白河が神道幸子から賃借している東京都渋谷区代々木一丁目四五番一号所在の東栄ビルの一階の店舗での惣菜及び弁当の製造販売について、左記条件により原告において営業を営む旨の経営委託契約(以下「本件契約」という。)を締結した。

(1) 期間 昭和五六年五月一日から五年間

(2) 委託料 一カ月四〇万円 毎月末日限り持参払い

(3) 光熱費の負担 水道料を除く公租公課、電気、ガス料金等は、原告において負担し、支払う。

原告は、本件契約に基づき、主婦として家事を行うかたわら、昭和五六年五月二三日に右店舗における業務を開始し、「ポテト」の商号で、店内食堂も兼ね、惣菜及び弁当の製造販売を行つてきたものであるが、昭和五七年度の利益は、一五一万一二八六円であつた。そして、白河に対しては、本件契約にしたがい、月額四〇万円(年額四八〇万円)の金員を支払つた。ところが、本件事故のために休業した期間、光熱費等の諸経費は、支払う必要はなかつたものの、右店舗での営業を継続するために、営業再開に備えて前記店舗の経営を受託したままであつたため、白河に対するその間の本件契約による債務は滞つたままである。

以上の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証処はない。

(二)  右事実に徴すると、原告の年収は、昭和五八年当時においては、昭和五八年賃金センサス第一巻第一表の産業計・企業規模計・学歴計の全年齢平均の女子労働者の平均賃金年額二一一万〇二〇〇円を下回るのであるから、主婦としての稼働をも考えあわせると、右平均賃金を原告の年収とみるのが相当である。そして、白河に対する本件契約による債務は、事故による休業のため、支払を免れる性質のものではないから、これを前期年収に加算した額を日割計算したものが、原告の一日当たりの休業損害とするのが相当である。そうすると、原告の休業期間は、前認定のように本件事故の日の翌日である昭和五八年四月九日から昭和五九年三月二二日までの三四九日間であるから、次の計算式のとおり、右金額となる。

(計算式)

(二一一万〇二〇〇円+四八〇万円)÷三六五×三四九=六六〇万七二八七円(円未満切捨て)

(三)  原告は、昭和五八年一月一七日から同店舗において「トーキヨーフード」の名称で弁当の注文販売も始め、これにより営業利益も出始め、注文販売に力を入れようとした矢先に本件事故にあい、右営業を中止せざるを得なくなつたとして、その間相当額の利益があつたとして、それをもとに休業損害を請求しているが、その間の利益額については、それについての甲一一号証の一から三〇まで、第一三号証の一から七一まで、第一四号証の一から三まで、第二一号証、二二号証の一から四まで、二三号証、二四号証の一から九まで、二五号証、二六号証の一から一一まで、二七号証、乙三号証、及び原告本人尋問の結果の結果中に、右主張を窺わせるものも含まれているが、その体裁、形式、根拠が曖昧な部分があること、その収入の予測根拠自体極めて不確実であること等からみてにわかに措信できず、本件全証拠によるも、その主張を裏付けるに足りるものではない。

5  入通院慰藉料 一三〇万円

本件訴訟に顕れた諸般の事情に鑑みると、原告の本件事故により受けた傷害による入通院のための精神的苦痛を慰藉するためには右金額が相当である。

小計 八五三万七三九五円

6  過失相殺

前記のように、原告にも本件事故の発生につき四分の一の過失があるから、右損害から右の割合による控除をすることとする。

小計 六四〇万三〇四六円

7  損害のてん補

原告が、自賠責保険から四六万六一〇〇円及び一八万九三九一円、被告から二万一六〇八円及び六万六二一〇円の各支払を受けていることは原告の自認するところであるから、以上の金額を右損害から控除することとする。

小計 五六五万九七三七円

8  弁護士費用 六〇万円

弁論の全趣旨によれば、原告は、被告が任意に右損害の支払いをしないので、その賠償請求をするため、原告代理人らに対し、本件訴訟の提起及びその遂行を依頼したことが認められ、本件事案の内容、訴訟の経過及び請求認容額に照らせば、弁護士費用として被告に損害賠償を求めうる額は、右金額が相当である。

合計 六二五万九七三七円

五  以上のとおり、原告の本訴請求は、六二五万九七三七円及びこれに対する本件事故発生の日の後である昭和六〇年二月二三日から支払いずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないので棄却することとし、訴訟費用については民事訴訟法八九条、九二条、仮執行宣言については同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 宮川博史)

別紙 現場見取図

〈省略〉

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